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最後の日には、横浜の中華街や港の見える丘公園へ行きました。
噂には聞いていましたが、港にはカップルがいっぱい!!
通りがかりに見つけたモダンな建物。
「入ってみる?」
「うん」
横浜ゆかりの作家・大佛次郎(おさらぎじろう)記念館へ行ってみました。
大佛コレクションの中に、アンティークな食器や家具、
浮世絵などが沢山ありました。
お互いの好きな絵画とか音楽の趣味が似ていたので、
高校時代、よく二人でそんな話をしていました。
「あれ、好きそう!」
私は浮世絵の一つを指して言いました。
彼女は一瞥(べつ)すると、
「…あれね…。昔は好きだったけど、今はもうどうでもいい…」
「…」
完全に無気力、無関心。

夕暮れになりました。
私は、彼女の家へは戻らずに、このまま大阪へ帰るつもりです。
帰りたくない。もっと一緒にいたい。
何でこんなに離れてるんやろ…。
気軽に行くには、千葉は遠すぎます。

彼女は、東京駅まで見送りについて来てくれました。
新幹線の乗降口で、発車ギリギリまで一緒にいました。
「お願いやから、もうちょっと人間らしい生活してな」
「・・うん」
「また電話する。手紙も書くから」
「・・うん」
彼女は名残惜しそうな様子でした。
せっかく懐いてきたのに(彼女は子犬かっ)
私が帰ってしまったら、また元の木阿弥(もくあみ)になってしまうのでは…。
一瞬、不安がよぎりましたが、帰らない訳にもいかないので、
後ろ髪をひかれつつ、私は車上の人となりました。

(21)へとつづく。

千葉には4・5日滞在しました。
私が訪ねるまで全く外出していなかった様子だったので、
東京見物がてら、二人であちこち行けたらいいな、と思っていました。
あの娘の案内で東京ディズニーランドや横浜へ遊びに行く事になりました。

初めてのディズニーランド。
…平日なのに、この人だかりは何なんでしょう!?
皆さん、学校とか会社は~!?
関西から出た事の無かった私は、あまりの人の多さにちょっと辟易気味でしたが、
おまけに遊園地とか可愛いモノとか、女の子の喜びそうなモノに、
実はまったく興味が湧か無かったとゆ~…オタクなヤツでしたが(^o^;ゞ
(今でもあまり変わっておりませんが…)
そんな私でも素直に楽しんでいました。
二人で行けるならどこでも楽しかったようです。

本当は苦手なのですが、あの娘が乗りたがっていたので、おつきあいで、
ジェットコースター関連の乗り物に沢山乗せられてしまいました。
中でも、最高に嫌だったのがスペースマウンテン!
これは死ぬかと思いました…。
(Gに弱い私…Gスポットではありません…かかる重力&加速度です(;_;)d)
(まだスプラッシュマウンテンやビッグサンダーマウンテンは許せた…)

暗黒の暗闇の中、上下も判らず、一体どこを疾走しているのやら、
私は、唯一の命綱である手すりを必死で握りしめ、
ギュッと目を瞑って下を向いたまま、声も出せずにいました。
ひたすら早く終わって~神様…!!

~~~~~~~~~閑話休題~~~~~~~~~~~

やっと解放され、くた~…っとヘタれて放心状態の私の横…
「たいしたこと、なかったね」
「……」
彼女はケロリとした表情で言ってのけたのでした。
…絶対、この人、人間じゃないと思います。


気がつくと、けっこう夜遅くまで遊んでいました。
遊び疲れた私と彼女は、人ゴミから外れたベンチで休憩していました。
何だか少し落ち着きがない彼女。
「ど~したん?」
「…煙草、吸ってもいい?」
「…いいけど」
いつの間に覚えたんでしょう?
お姉さんの影響でしょうか?
煙草を吸う人って、特に嫌いな訳ではありませんが、
一服して落ち着いた彼女の姿を目にすると、
「何だかイメージじゃないなぁ~…」
などと、思ってしまいました。
「心配するから、お母さんには内緒なの」
「……」
麻薬に救いを求めている中毒患者のように見えました。
私が余計な口出しをして、止めろって言うのも変やしなぁ~…。
(注:二人とも、十代です。念のため。)

(20)へとつづく。

雨上がりの上野公園。
私とナカタニちゃんは、美術館と動物園へ向かっていました。
けれど、目的地はあいにくの定休日。
ありゃん。残念。
まっいっか。
他に用事も無かったので、近くの公園のベンチに座ってみました。
美大生がスケッチしている風景を、あの娘とふたり、
何とは無しに眺めていました。

東京ってけっこう緑があるんやなぁ~。
鳩とか雀もいっぱいいるわ~。
のどかやなぁ~…。
なんかこのままお昼寝したくなるなぁ~。

…と思いきや、次第に雲行きがあやしくなり、
やがて大粒の雨がザーッ!!
慌てて美大生の人たちと一緒に、木陰の下へ避難しました。
あまりの土砂降りに誰もそこから動けません。
傘を持っていても役に立ちそうにもありませんでした。

突然の雨で、髪も服も少し濡れてしまいました。
ふと、彼女の方を見ると…
濡れた長い黒髪が身体に纏いつき、雨粒でキラキラ光っています。
…なんでこの娘は、こんなに綺麗なんやろ?
なんか愛しくて、抱きしめたいって思ってしまう私って…。
ああ、でもアカン。
ナカタニちゃんを汚すような事、思ってるなんて、
気づかれたら、絶対にアカン。

ちょっと胸が苦しいけど、こんなんすぐに収まるし。
うん、大丈夫。

「どうしたん?」
「……」
せっかく打ち解けてきたあの娘の表情は、また少し陰っていました。
「・・いつもこうなの。最近運が悪い」
悪い事はすべて自分のせいだ、と言うのです。

「何言ってんねんよ、そんなん全然関係無い!タマにはそ~ゆ~事も続くって!」
「…かな」
「大丈夫やし!な!」
「うん…」

(19)へとつづく。